“現場のペーパーレス化”アプリの開発とIT人材の育成に成功

サントリースピリッツ梓の森工場（栃木県）は、サントリースピリッツ社の中でも最も生産能力が高く、ウイスキー、焼酎、リキュール、カジュアルワイン、RTDなどの多品目を生産しています。

梓の森工場では、ITベンダーに委託していたITシステムの構築・改修作業の一部を工場内の若手IT人材が内製することにより、急速なDX化を進めています。この内製化の背景にある、2021年の9月から12月にテンダがコンサルティングに入って取り組んだプロジェクトについて紹介します。

梓の森工場では、全社共通の経理や酒税のシステム化は進んでいましたが、製造業務に関してはまだ紙ベースのチェックシートが使用されていました。

この方法は作業の記入やデータの共有が面倒で非効率です。データを集計するために、ファイルを探し出したり、Excelに手作業で入力するなど、多量の業務が生じていました。

そこで、紙ベースの管理を電子化し『タブレットを使ってデータの記入から集計まで一連の作業を完結するIT化』することを検討されていました。この検討を進めるにあたっては『今後のシステムの構築や改修を内製化』すべく、工場内部にIT人材を育成することも必須としました。以前に導入したシステムがベンダー依存していたため、それを解消する狙いがありました。

目的達成に必要なDXコンサルティングができそうな企業を探した結果、テンダを選定いただくこととなりました。決め手は、応答速度が良くサポートを受けやすそうだった、短期間でも対応できること、費用感が想定内だったことなどです。

本プロジェクトは「紙のチェックシートの電子化」とそれを通じた「IT人材の教育、育成」のプロジェクトとして、2021年の9月から12月にかけて進められました。

テンダの得意とするMicrosoft 365プラットフォームの活用を前提としつつも、初期段階では他の選択肢も除外せず、生産業務からの要求事項を検討。最終的にはMicrosoftのDataverse、Power Apps、Power BIを用いたシステムを構築することとなりました。

テンダは、このプロジェクトでは現場の要件を理解することが最優先だと考え、生産ラインの見学とヒアリングを行い、「現場の方々が使いやすい電子化システム構築には何が必要か」や、「今後、工場をDX化していくにあたって必要なデータベースをどのように設計すべきか」といった細かな確認を行いました。

プロジェクトには梓の森工場から5名の若手メンバーが参加し、レベルに合わせた個別レクチャーなどを行って全体の底上げを図りました。

レクチャーの中にはスムーズに進まない場面もあり、中でも「ER図の作成」が最も難関となりました。この作業は長期的にデータを管理するために重要であり、メンバーのER図をレビューしアップデートしていただく壁打ちを1か月以上も行いました。

ER図の作成後は、データベースの構築やアプリケーションの開発などの段階を順調にクリアし、4か月のプロジェクト期間内に「紙のチェックシートを電子化するアプリ」の開発（PoC）が完了しました。このアプリは、試験運用で成功し、工場全体の帳票電子化の準備を進めています。

IT人材の育成という面においては、5名のメンバーが大きく成長する結果となりました。プロジェクト終了後も、彼らは獲得した知識を活用して活躍を続けています。

工場では出勤時の体調の記録が紙で行われていましたが、こちらもプロジェクト終了後にメンバーが体調記録アプリを開発して電子化に成功しています。

このように、プロジェクト終了後もIT人材が育ち、システムの構築ノウハウが内製化されたことから、多くの成果が生まれています。

ゆくゆくは今回のプロジェクトで成長した5名が核となってさらにIT人材を増やしていき、サントリースピリッツ全体のDX化を加速させていく展望もあるとのことです。

この記事の詳細について プロジェクトに関わられたメンバーの声などより詳しい内容は『MSTech Office365／SharePoint業務改革ソリューション』に掲載しています。 MSTechを見る