COLUMN
ノーコード・ローコード開発が台頭しても開発会社が必要な理由
ノーコード・ローコード開発の普及により、専門知識がなくてもアプリケーション開発が可能となりましたが、その一方でセキュリティや品質管理の課題、野良アプリのリスクも浮上しています。本記事では、ノーコード・ローコードのメリットと限界を解説し、仕様精査や安全な運用を専門の開発会社に外注化する重要性について紹介します。
ノーコード・ローコード開発と市場規模
ノーコード・ローコード開発とは、プログラム開発言語の使用を最小限に抑えたり、まったく使わずにアプリケーションを開発する手法です。近年、新たなシステム開発の方法として登場し、多様化する現代の技術ニーズに応える形で進化を遂げています。
主なメリットとして、開発プロセスの効率化が挙げられます。最小限のコーディングでアプリケーションを開発できるため、プログラミングの専門知識がない人でも利用可能です。これにより、スピードとコスト効率の両方で優れた開発が可能となります。また、ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作で、ウェブサイトやアプリを作成することができます。
株式会社アイ・ティ・アール社の発表では、ノーコード・ローコード開発市場の2022年度の売上金額は709億4,000万円で、2025年度には1,000億円規模に拡大すると予測されています。デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる大きな力となっています。
この急速な成長は、技術の進化にとどまらず、ビジネスプロセスの変革にも寄与しています。
市民開発者による開発の加速
ノーコード・ローコード開発ツールの普及により、「市民開発者」と呼ばれる新しい層が登場しています。従来のプログラミングスキルを持たない一般の社員の中から生まれた、企業のビジネスニーズに応じてアプリケーションを開発する人たちを指します。市民開発者が出てくることにより企業内でのイノベーションが促進され、IT部門に頼ることなく、現場主導でアプリケーションを作成する機会が広がっています。
この「開発の民主化」は、企業内での多様なアイデアやソリューションの創出を促し、ビジネスニーズに迅速に対応するアプリケーションの開発を可能にしています。
市民開発者の増加は、企業の柔軟性と競争力を高める要因となっています。各部門が自ら問題解決を図ることができ、従来以上に迅速な意思決定と実行が可能になります。
社内に「野良アプリ」が登場するリスク
ノーコード・ローコード開発の普及により、社内で「野良アプリ」と呼ばれる非公式なアプリケーションが増えるリスクが生じています。野良アプリとは、企業の公式なITポリシー外で作成されるアプリケーションのことで、社内の情シス部門の管轄外で作られるため、十分なセキュリティ対策やデータ管理の基準を満たせないリスクが伴います。
こうしたアプリケーションは、セキュリティ上の脅威となり得るだけでなく、データの一貫性や品質に問題を引き起こす可能性があります。また、公式な監視や管理が及ばないため、不正アクセスやデータ漏洩といったリスクが高まります。その結果、企業のIT戦略に混乱をもたらし、業務効率の低下を招く恐れがあります。
リスクを管理するための対策として、企業はノーコード・ローコードツールの使用に関する明確なポリシーを策定し、従業員への教育とトレーニングを徹底することが必要です。これらの取り組みを徹底することで野良アプリによるリスクを抑えつつ、開発手法の利点を最大限に活かせるようになります。
仕様精査や安全な運用の部分を外注化するメリット
ノーコード・ローコード開発においても、仕様の精査や安全な運用は非常に重要です。特に、市民開発者によるアプリケーションが増える中、このプロセスを専門の開発会社に外注化することは、リスクを低減し、開発の品質を向上させることが可能です。
アプリケーションの仕様を正確に理解し、ビジネスニーズに適切に対応するためには、専門的な技術と経験が求められます。外注化により、専門性を持つ開発者や企業に仕様の精査をしてもらえるため、効果的かつ効率的な開発をサポートします。また、セキュリティ対策も強化され、データ保護やアクセス管理の基準を遵守するアプリケーションの運用が可能となります。
内製化と外注のバランスが重要
ノーコード・ローコード開発の普及は、開発の効率化やビジネスの迅速な対応を可能にしますが、一方でセキュリティや品質の問題、野良アプリのリスクといった課題も抱えています。これらの課題を解決するためには、開発会社の専門知識と経験を活用することが重要です。
株式会社テンダでは、受託開発やラボ型開発を通じて、お客様のニーズに応じた最適なソリューションを提供しています。ノーコード・ローコード開発の利点を最大限に引き出しつつ、リスクを最小限に抑えたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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参考:2022年度のローコード/ノーコード開発市場は前年度比16.0%増の709億円に
2025年度には市場規模が1,000億円を超えると予測 ITRがローコード/ノーコード開発市場規模推移および予測を発表