COLUMN
現場発のボトムアップDX!Excelと紙の山を「自分たちで作るアプリ」で解決する方法
「エクセルが重くて開かない」「紙の転記作業に追われている」そんな現場の悩みを解決するのが、ボトムアップ型のDXです。架空の製造業G社の事例を元に、ノーコードツールで現場が自らアプリを作り、業務改革を成功させる秘訣と、プロによる伴走支援の重要性を解説します。

もくじ
現場の「あるある」悩み、そろそろ限界ではありませんか?
毎日の業務の中で、このようなストレスを感じていないでしょうか?
「管理用のエクセルファイルが巨大化しすぎて、開くたびにフリーズする」
「現場から上がってくる手書きの日報を、システムに入力し直すだけの残業がある」
「必要なデータがどこにあるか分からず、結局は担当者の『勘と経験』で判断している」
多くの企業が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を掲げていますが、現場レベルでは依然として紙とエクセルによるアナログな管理が根強く残っています。トップダウンで高額なシステムを導入しても、現場の実情に合わず定着しないというケースも少なくありません。
この記事では、現場が抱える課題を「現場自身の手」で解決するためのアプローチについて解説します。キーワードは「ボトムアップ」と「ノーコード」です。架空の企業G社の事例を通じて、小さな一歩から全社の変革へとつなげる方法をご紹介します。

なぜシステム部は現場の要望に応えられないのか
なぜ、使いにくいエクセルや紙の業務がなくならないのでしょうか。それは、企業のIT部門が「基幹システムの維持」や「セキュリティ対策」に手一杯で、現場の細かな業務改善ニーズにまで手が回らないことが大きな要因です。
現場からすれば「ちょっとした集計ツールが欲しいだけなのに」と思っても、外部ベンダーに見積もりを取れば高額になり、社内で開発依頼をすれば半年待ち、という状況が頻発します。現場は手っ取り早い解決策としてエクセルを使い続け、データが属人化していくという悪循環に陥ってしまうのです。
この状況を打破するには、「システム開発の民主化」がカギとなります。「IT人材がいないので業務アプリが作れない」から「現場が自分たちで業務アプリを作る」というスタイルへの発想の転換をすることが必要です。

【事例】架空のG社が成功させた「脱・紙帳票」プロジェクト
中堅製造業であるG社の事例(架空)を見てみましょう。G社では、工場の点検業務において長年「紙のチェックシート」を使用していました。
G社が抱えていた課題
G社の製造現場では、日々の点検結果を紙に記録し、週末に事務員がエクセルと基幹システムに手作業で入力をしていました。しかし、入力ミスや記入漏れが発生することがあり、長年課題になっていました。
社内の情シス部門にかけあうものの、彼らは既存システムの運用に手いっぱいで新規システムの構築は後回しとなっていました。
「自分たちで作る」選択とノーコードの活用
この状況を打破するためにG社の現場リーダーは、IT部門に頼らず、プログラミング知識がなくてもアプリが作れる「ノーコードデータベース(DB)」の導入を決定しました。
実践したのは以下のプロセスです。
- 紙のフォーマットをアプリ化
使い慣れた紙のデザインを参考に、タブレットで入力できる画面を現場スタッフ自身が作成しました。選択式にすることで入力ミスを防止し、写真はカメラで撮影してそのまま添付できるようにしました。 - RPAによる自動連携
蓄積されたデータは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を使い、基幹システムへ転送される仕組みを構築しました。これにより、事務員の転記作業はゼロになりました。 - AIによる予兆検知
蓄積されたデータの管理が容易になったことでAIによる分析も取り入れることが可能となりました。AIに分析を行わせ、「この数値が変動すると故障のリスクが高い」といったアラートを出せる仕組みを取り入れました。
結果として、G社では工数削減を実現しただけでなく、現場スタッフから「次はこんな機能を追加したい」という改善提案が活発に出るようになりました。

「ツール導入」だけでは失敗する?成功の鍵は「伴走支援」
G社のように完全な現場主導で進められることが理想ですが、実際には時間や技術の壁にぶつかることがあります。
特にG社のような現場主導の場合は「どんなツールを選べばいいか分からない」といった懸念のほか、情シス部門の視点では「現場が勝手にアプリを作って管理不能になる(野良アプリ化)」といった懸念も出てきます。
この問題を解決するのは、「現場の自走」と「プロの伴走」の組み合わせです。
単にツールを契約して現場に丸投げするのではなく、以下のようなサポート体制を整えることが成功の近道です。
- ツールの選定と教育
現場が直感的に使えるノーコードツールを選定し、ITリテラシーが高くない社員でも扱えるよう、初期の教育を行います。 - 業務整理のサポート
今の業務をそのままアプリにするのではなく、「そもそもこの作業は必要か?」という業務の棚卸しをプロの視点で行います。 - 技術的なバックアップ
現場では解決できない複雑なデータ連携(API活用など)や、セキュリティ設定に関して専門家が支援します。
株式会社テンダが提供する「TRAN-DX」は、ノーコードDB・RPA・AIを組み合わせた技術提供だけでなく、お客様の現場が自走できるまでの「教育・内製化支援」を重視しています。

まとめ:現場発のDXで持続可能な改善を
本記事では、現場主導のDXについて解説しました。
- エクセルや紙の管理は、データの活用を阻害し、属人化を招く原因となる
- IT部門に頼りきりになるのではなく、ノーコードツールを活用して現場自身がアプリを作成・改善する体制が有効
- ツールを入れるだけでなく、業務整理や教育を含めた「伴走支援」を受けることが、プロジェクト成功の鍵となる
「現場のことは現場が一番よく知っている」。
だからこそ、現場が使いやすいシステムを自分たちで作る文化が育てば、企業の競争力は飛躍的に向上します。まずは、今ある「重たいエクセル」や「山積みの紙帳票」を一つ減らすところから始めてみませんか?
株式会社テンダでは、貴社の現状をヒアリングし、最適なノーコードツールの選定から、現場スタッフ様への定着支援までをトータルでサポートしています。
「自社の帳票を電子化できるか試してみたい」「他社の成功事例をもっと詳しく知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。




